4つの大講座と研究領域
機械工学の対象は、個別の製品や装置に留まらず、それら相互の関係、動作環境、状況としての社会や経済などとの関連にまで広がっています。4つの大講座(系)のもとにある24の研究領域(研究室)では、60名ほどの教員がそれぞれの専門領域で機械工学の革新に向けた様々な最先端の研究を展開しています。
学部課程4年生と大学院生は、いずれかの研究領域(研究室)に配属されて、教員とともに世界水準の研究に取り組みます。
4つの大講座
- 機能構造学系
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機能材料力学領域|中村研究室
中村 暢伴(教授)、足立 寛太(助教)
私たちの身の回りには力学的な負荷を加えると発電したり磁石になったりするなどの機能をもつ物質が存在します。当研究室では力学と機能に相関を示す新しい機能材料の開発ならびに機能材料のガスセンサ・分子センサへの応用研究などを行っています。
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マイクロ動力学領域|中谷・土井研究室
中谷 彰宏(教授)、土井 祐介(准教授)
材料力学・固体力学を基礎とした応用力学の研究を行なっています。特に微視構造を有する機械システムに生じる非線形現象や不安定現象を積極的かつ安全に利用して、新しいマクロ力学特性や機能を実現することを目標としています。例としてメタマテリアルやテンセグリティ構造の力学解析と実験、計算機シミューションを融合した研究を推進しています。
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複合流動工学領域|田中・辻研究室
田中 敏嗣(教授)、辻 拓也(准教授)、 鷲野 公彰(講師)
固体粒子などの分散相を含む複雑流動では、分散相のメゾスケール構造形成による各種輸送特性の促進といった機能の発現など、興味深い振る舞いが現れる。その挙動を予測し制御するためのモデルの構築、さらに微粒子構造形成の制御、工業装置や環境・安全問題などへの応用を目指す研究を行っている。
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材料評価工学領域|林研究室
林 高弘(教授)、森 直樹(講師)、劉 麗君(助教)
波動論と数値計算による超音波・弾性波動伝搬挙動の解明、非接触計測を中心とした新しい振動・波動計測技術の開発を通して、工業材料および生体材料の非破壊・非侵襲評価手法の構築を行っています。
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複合化機構学分野(接合科学研究所)|近藤・梅田研究室
近藤 勝義(教授),梅田 純子(教授),刈屋 翔太(講師)
材料の表界面制御および組織構造制御と多機能化に着目し、材料・加工プロセスの高度化によるエネルギーの効率的利活用と省エネルギー化を主題に、原子~ナノ~ミクロンの階層的マルチスケール設計による材料の複合化と高機能化に関する基礎学理の構築と実用化研究を遂行している。
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- 熱流動態学系
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流体物理学領域|竹内研究室
竹内 伸太郎(教授)、岡林 希依(助教)
エネルギー機械,高速輸送機関,生体内の流れへの適用を目的として,界面現象,乱流の微細要素渦など,ミクロな素過程の解析とモデリングに立脚した数値シミュレーションにより,推進力の増大,騒音や抵抗の低減,熱や物質移動の制御に関する研究を行っている。
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非線形非平衡流体力学領域|矢野・山口研究室
矢野 猛(教授)、山口 康隆(准教授)、稲葉 匡司(助教)
非線形(nonlinear)と非平衡(nonequilibrium)をキーワードとして、流体現象の解明とその機械工学への応用を研究している。その中でもとくに、新しい流体力学のための新しい理論の創成を目指している。
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エネルギー反応輸送学領域|津島研究室
津島 将司(教授)、鈴木 崇弘(講師)
熱力学が提示するエネルギー損失の理論限界と実際の系との乖離を支配する律速過程を化学反応と輸送現象にもとづく速度論的視点から明らかにし、その促進と制御ならびにマクロからマイクロ・ナノスケールにまで及ぶ反応輸送系を構築するための方法論を追究し、燃料電池、二次電池などの電気化学エネルギー変換デバイスならびに物質の分離、濃縮、捕集を高効率で実現するデバイスへと展開する。
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燃焼工学領域|赤松研究室
赤松 史光(教授)、堀 司(講師)、澤田 晋也(助教)、村井 隆一(特任研究員)、中塚 記章(特任研究員)、田 碩(特任研究員)
動力の発生,熱プロセスに関係する燃焼現象を対象とし,火炎構造の解明,排気中汚染物質の低減,計測法の開発,燃焼熱エネルギーの有効利用,燃焼合成にわたる基礎研究から応用研究まで実施している。
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マイクロ熱工学領域|芝原・藤原研究室
芝原 正彦(教授)、藤原 邦夫(准教授)
私たちの研究室では、さまざまな「エネルギーを利用する過程」や「熱が伝わる過程」に対して、原子・分子スケールのシミュレーション、数値解析、深層学習などのコンピュータを駆使する技術を独自に開発しています。さらに、それらの技術を用いることで科学的に正しい描像を明らかにするとともに、シミュレーション結果に対する実験による検証、さらにシミュレーション結果に基づく技術開発も実施することにより、全く新しいエネルギー利用方法の創出、省エネルギー技術,カーボンニュートラル実現に貢献するためのさまざまな研究を行っています。
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- 統合設計学系
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設計工学領域|藤田・野間口・矢地研究室
藤田 喜久雄(教授)、野間口 大(准教授)、矢地 謙太郎(准教授)
優れた革新的なデザインを実現することを目指して、製品の開発や設計を価値・コスト・時間などについての様々な要因を総合的かつ系統的に考えつつ合理的に進めていくための理論や方法論、コンピュータ援用技術に関する教育と研究を行ってます。具体的な研究テーマとしては、深層学習による解空間の操作に基づく概念設計支援フレームワーク、深層生成モデルとマルチフィデリティ解析による機能と構造の創成法、System of Systems のための複雑系モデルと数理による設計法、製品系列とサプライチェーンが織りなす統合システムの設計論、複合領域設計のための解析モデリングと知識マネジメント、設計開発プロセスのモデリングと計画支援などに取り組んでいます。
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精密加工学領域|榎本・杉原研究室
榎本 俊之(教授)、杉原 達哉(准教授)、佐竹 うらら(助教)
「医療」「宇宙・航空機」「半導体」そして「自動車」「光学」の分野における最先端のものづくり ~ 加工、特に切削・研削・研磨加工に関する研究を行っています。加工現象を圧倒的に掘り下げて理解し、まったく新しい技術シーズを産み出す基礎研究から、産業界のニーズにもとづくゴール・オリエンテッドな応用研究に至るまで、多岐にわたる、幅広い研究活動を行っています。
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ナノ加工計測学領域|高谷・水谷研究室
高谷 裕浩(教授)、水谷 康弘(准教授)、上野原 努(助教)
光応用ナノ加工計測の領域,すなわち微小・微細な光マイクロ/ナノ加工計測,加工中における光ナノインプロセス計測,超高速ナノ現象の光高感度計測など,光を利用したナノスケールの加工と計測を融合させシステム化することによって,高度化したナノ加工計測システムを構築するための研究を行っている。
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サステナブルシステムデザイン学領域|小林研究室
小林 英樹(教授)、村田 秀則(助教)
持続可能な社会における人工物システムの在り方を考えた上で,地球環境,社会,経済の側面から製品ライフサイクル,製品サービスシステムの設計手法を開発し,社会実装マネジメントと併せて方法論としての体系化を行っている。
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人間支援工学領域|井野・吉元研究室
井野 秀一(教授)、吉元 俊輔(准教授)
多様な人たちの日常生活を科学技術で支援する健康・福祉工学とその周辺領域の基礎研究(人間計測)と応用研究(感覚代行・リハビリ・生活習慣病予防・フレイル予防)に異分野連携で取り組んでいる.人々の可能性を拡張するバーチャルリアリティなどの人間-機械システムに関する研究も行っている.
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レーザプロセス学分野(接合科学研究所)|塚本・佐藤研究室
塚本 雅裕(教授)、佐藤 雄二(准教授)、竹中 啓輔(助教)
最先端のレーザ材料加工法に関して、各種加工法の開発と加工現象の解明の研究を行っている。特に、レーザ溶接・接合現象について光学的手法、X線透視法等により高速度に観測・計測し、レーザと物質との相互作用、溶融溶接現象および溶接欠陥発生機構の解明などを行い、また、レーザ溶接時のセンシングや適応制御、レーザ異材接合、レーザブレージング、レーザプロトタイピング、ハイブリッド溶接など、高品質・高機能接合部の作製に関する研究も行っている。
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- 知能制御学系
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機械動力学領域|石川・南研究室
石川 将人 (教授)、南 裕樹(准教授)、増田 容一(助教)
「転がる」「揺れる」「歩く」「泳ぐ」―。本研究室では、解析力学、非線形力学、メカトロニクスなどの理論と技術を駆使して、徹底的に「動くもの」の原理を探究している。特に外部環境との間に働く拘束力がいかに物体を移動させるか、すなわち「ロコモーションの力学」を柱として、三叉ヘビ、三脚歩行、球体転動といった斬新な移動機構の創出や建設機械のダイナミクス解析などの応用研究を行っている。
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動的システム制御学領域|大須賀・杉本・石原研究室
大須賀 公一(教授)、杉本 靖博(准教授)、石原 尚(准教授)、末岡 裕一郎(助教)
動的システムの力学的特性を活かした制御の本質を理解し,自然物や人工物の制御系に対する新たな設計原理を構築している(科学としてのロボティクスから実学としてのロボティクスまで)。
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知能機械システム学領域|東森研究室
東森 充(教授)、東 和樹(助教)
機械と対象との相互作用に注目し、知能や情報の観点から独創的な機械システムを創出することを目標としている。医歯学や食品科学と連携し、ロボットマニピュレーションならびにセンシングを中心とした新奇課題の創出、新奇システムの設計・開発に関する応用研究を推進している。
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生命機械融合ウェットロボティクス領域|森島研究室
森島 圭祐(教授)
いまだ世の中に昆虫のような超微小生命体と同等サイズで、かつ、化学エネルギで駆動するアクチュエータ・エネルギー源・センサ知能を搭載した超微小自律移動機械、マイクロロボットは実現されていません。機械工学のものづくりを超えて、生命の自己組織化原理に迫るコンセプトを掲げ、「動的再構成可能なマイクロロボット」 「未来のロボットは生命と機械の融合で実現」「生物を超える柔らかい機械を作る」を目標に、自由かつ大胆なサイエンスに挑戦します。
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宇宙機ダイナミクス制御領域|佐藤研究室
佐藤 訓志(教授)
人工衛星や惑星探査機に代表される宇宙機の軌道力学や姿勢力学をもとに、宇宙機の新たなミッションを拓く高効率軌道遷移・保持技術、高速姿勢制御技術、超精密フォーメーションフライト技術などの研究開発を行っている。
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フィールドロボティクス部門(コマツみらい建機協働研究所)
栗山 和也(特任教授)、近藤 大祐(特任講師)、Mak Kwan Wai(特任助教)、浦 大介(特任助教)、小川 哲也(招へい教員)
大阪大学-コマツの共同研究の拠点として、建設現場、生産工場現場の生産性向上の為、自動・遠隔化、効率化を実現する要素研究に取り組んでいる。ICTの活用に加え、大学ならではの視点・発想を活用し、制御、画像処理、センサ、シミュレーションを含めデータ解析など幅広い領域を、複数の研究室と共同研究を行い、現象の深堀、その要素技術のスピーディな確立を目指している。
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