機能構造学系|機能材料力学領域
中村研究室
研究室HP中村 暢伴(教授)、足立 寛太(助教)
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中村研究室とは?
水素社会を加速化させる!?新しい材料の開発に挑む
世の中には、力を受けることで本来とは異なる電気的な性質や磁気的な性質に変化する材料が存在します。この研究室では、機械工学の知識をベースに、光学や化学工学など様々な分野と融合させながら、新しい材料開発にのぞんでいます。例えば、変形すると電気が流れやすくなったり流れにくくなる材料がありますが、全く電気を流さない状態から変形すると電気が流れるようになる材料を人工的に開発したりしています。誰にも知られていない現象を、学問として生み出す。そうした研究を積み重ねた先に、私たちの日常に役立つ新しい材料や技術が誕生するかもしれません。特に、近年はものづくり業界を中心に「水素」が注目されていますが、この研究室では従来に比べて12倍もの水素検出能力を持った「パラジウムナノ粒子」の開発に成功しています。これは、水素を使う工場などで、水素の漏洩による事故を防ぐのに非常に役立ちます。「パラジウムナノ粒子」を使用した水素センサーの応用研究が展開すれば、水素社会が飛躍的に発展するのも夢ではありません。
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研究室のユニークPoint !
ナノ粒子がくっつきそうで、くっつかない、「中途半端」な材料。
「超音波」を用いて研究を行っていることが、研究室の特徴の一つです。具体的には、人間には聞き取ることができないほど高い音で鳴り響く鐘を利用した実験を行い、現象を解明しながら、新しい材料開発に取り組んでいます。例えば、ナノ材料を開発する時には、基板に金属の原子を一個一個降り積もらせる実験を行います。原子が集まるとナノ粒子になり、ナノ粒子同士がくっついてかたまりになると、金箔のような膜状の材料ができあがります。今、この研究室で注目しているのが、ナノ粒子同士がくっつきそうで、くっつかない、でも離れてはいない、ある意味中途半端な材料です。これまでは、粒子がくっついているもの、離れているもの、それぞれの材料をつくってきました。今取り組んでいるのは、その中間の材料開発です。その絶妙なさじ加減の調整が、超音波を用いた研究技術により実現できるのです。今までにないアプローチで研究開発にのぞんでいるため、どんな現象が起きるのか、どんな特性を持った材料が生まれるのか、期待が高まっています。
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研究室の先輩メッセージ
想像もしていなかった結果が出る。それが、実験のおもしろさ。
実験が多い研究室なので、特に実験が好きな人にはおすすめです。例えば、材料開発に取り組んでいる時に、ナノ粒子の間隔がちょっと違うだけで、実験結果が大きく変わってくるんです。粒子間隔を変えながら実験を重ねているなかで、「どうせ駄目だろうな」と思って作ったものが、想像もしていなかった結果が出て、実験の楽しさを実感しました。ただ、実験はいつも成功するわけではなく、思うような結果が出ない時期もありました。そんな時も「まあそんなこともあるか」と、めげずにトライアンドエラーを繰り返せば、まだ誰にも知られていない現象に出合えたり、材料の開発に結びつくかもしれません。