統合設計学系|サステナブルシステムデザイン学領域
小林研究室
研究室HP小林 英樹(教授)、村田 秀則(助教)
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小林研究室とは?
モノの生産から消費までの持続可能な仕組みを構築する。
世界全体で環境問題が深刻化している中で、どうすれば環境負荷を減らし「持続可能な社会」を実現できるのか。そうした社会問題に対して「ライフサイクル工学」「環境学」「設計工学」の視点からアプローチするのが「サステナブルシステムデザイン学」です。これは持続可能な社会の実現にむけて、人工物の生産から消費までをシステムとして捉え、その仕組みをデザインする新しい学問。当研究室では、先進国をターゲットにした研究と、新興国・途上国をターゲットにした研究を展開しています。例えば先進国では、新しくモノを生産するよりも既にある人工物を活用して、限りある資源の使用量をできるだけ減らす方法論の構築が求められています。その一方で新興国・途上国では、できる限り資源の消費を抑えながらも、生活の質を高めるインフラ整備や人工物の開発が必要です。その国や地域のニーズに応じた人工物の生産や消費のシステム開発に取り組んでいます。
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研究室のユニークPoint !
持続可能性×ものづくりの両軸から、社会問題にアプローチ。
工学系の研究室というと、一つの分野に注力して専門性を極めていくイメージがあるかもしれません。しかしこの研究室は、工学を基盤分野としながら、システム理論、環境経済学、人文社会系の知識を融合して研究に取り組んでいるため研究の対象が広く、学際的なアプローチを展開しています。環境問題と社会問題とものづくりの課題を同時に捉え、問題解決の方法論を生み出す研究は、ほとんど事例がありません。そのため世界の第一線をゆく研究領域であり、「実社会に役立つ研究」であることも当研究室の大きな特徴です。
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研究室の先輩メッセージ
「どうやってつくるか」だけでなく、「どんなものをつくるか」を考える。
- 田中 遼太(大学院修士課程1年生)
ベトナムを対象に、将来どのような交通システムを構築すれば環境負荷を削減できるのかについて研究を行っています。特にベトナムではバイクが主な交通手段。バイクの製造、使用段階、廃棄するまでの過程を「製品ライフサイクル」と呼んでいて、全ての過程におけるC02排出量をデータ化し、バイク交通による環境負荷がどれほど発生するのかを調べています。このシミュレーションの結果に基づいて、例えば今後はバイクを電動化する方がいいのか、または自動車を普及させる方が環境負荷を抑えられるのか、そういった方法論の確立に結びつけていきたいです。
- 寺住 和敬(大学院修士課程1年生)
「交通シミュレーション」と言って、将来人々がどんな交通手段を用いてどれだけ移動するのかを予想する研究に取り組んでいます。例えば、近年は新型コロナウイルスの影響により人々の移動量が減っていますが、そうした交通量や交通手段の変化も含めてシミュレーションを行います。僕自身、「製品をどうやってつくるか」ということよりも、「どのような製品をつくるのか」に興味があり、この研究室を選びました。正解がない研究領域なので、自分の視点やアイデアを研究に取り入れられるところにおもしろさを感じています。
- 山本 竜行(大学院修士課程1年生)
もともと、ものづくりの上流工程に関わりたいという想いがあり、製品づくりの過程において「概念設計」に携わる当研究室に興味を持ちました。今は交通シミュレーションと製品ライフサイクルを組み合わせて、交通システムから出てくるCO2排出量を推計する研究を行っています。具体的には、限られた区間の中で人々にさまざまな交通手段を与えたときに、どの手段を選択して、どのように目的地に行くかをシミュレーションしています。幅広い視点で社会を捉える研究なので、特に興味の幅が広い方におすすめの研究室です。