知能制御学系|知能機械システム学領域
東森研究室
研究室HP東森 充(教授)、東 和樹(助教)
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東森研究室とは?
人間が行っている「物の操り」を、ロボットで再現する。
わたしたち人間は、普段何気なく物を触ったり、動かしたり、操ったりしています。手を使って物を動かすという単純な動作の中でも、物のどこをどんな風に触っているのかを手や指先の感覚で感じ取りながら動かしていて、実はとても器用で複雑なことを行っているのです。この研究室では、人間が物を操る動作を、ロボットで再現することを目標としています。テーマは大きく3つに分かれており、「人間の手のように物を操るロボットハンドの開発」「ロボットならではの機構や仕組みで物を操るロボットの開発」「人間の『食べる』を再現し、食品の食感を評価するロボットの開発」を中心に研究を展開しています。これまで人間がやっていた動作をロボットが忠実に再現できるようになれば、工場の自動化など産業の分野に大きく貢献できる研究領域です。
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研究室のユニークPoint !
サクサク感、口溶け感をロボットが評価。
企業との共同研究も活発です。例えば、食感を評価するロボット。ロボットには「手」の代わりに、人工の「歯」が取り付けられています。この人工の歯で食品を咀嚼し、食品が壊れて混ざり合う様子をカメラや圧力センサーで捉えます。これらのデータを機械学習(AI)で分析し、サクサク感やモチモチ感、口溶けといった食感を評価します。食品開発の現場では、食品の食感評価は「官能評価士」という専門の人が全て行っていますが、この作業をロボットで代用し、美味しい食品や高齢者向け介護食品などの開発に貢献することが期待されています。このように、大胆なことを言えば、人間の機能を模倣して再現できるのであれば、どんな形や姿のロボットでもかまいません。人間の原理とロボットの原理を融合し、柔軟な視点や発想から新奇システムを創出することを目指しています。
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研究室の先輩メッセージ
ロボットでも、ラテアートができるのか?
- 大石 実優(大学院博士前期課程1年生)
容器の中に入った2色のたくさんの物体を、棒を使って混ぜ合わせたり、好みの模様を描くように操ったりするロボットの研究開発に取り組んでいます。例えば、短い時間で完全に混ぜ合わせるには、どんな軌道で混ぜれば良いのか。人間でも練習や経験が必要ですが、ロボットにとってはとても難しいことなんです。具体的には、ロボットに物体の画像を与えて、混ざり具合を数値化した「混和度」を計算します。ロボットを動かして、混和度がどれくらい上がるのかを何度も試行してコンピュータで学習しながら、完全に混ぜ合わせるための最適な軌道を生成していきます。実はこの研究は「ラテアート」からアイデアを得ており、人間でも難しい流体同士を操る動作を、ロボットでもできるように研究することがおもしろいと感じています。ロボットのシステム作りから自分自身で行うため難しさもありますが、誰も知らない未知の領域を開拓する魅力的な研究です。